
Craft Onsen Project
VOL2
クラフト温泉
温泉は後数万年経てば石油になる
Wikipedia
温泉は良質な天然水をベースに、土壌に含まれるミネラルが長い年月をかけ溶解してできた太古のミネラルのスープが地熱で温められたものだ。つまり風土で生み出されるのだ。
日本は火山国で海底隆起した肥沃な土壌と豊かな水資源を持つ世界で最も温泉資源の豊かな国である。その証拠に確認済みの世界の総源泉数の実に9割近くが日本に集中している。
温泉は実は石油とその構造が極めて似ている。そのことに気づいた僕は、石油の精製と反対のプロセス、つまり粗製を経ることで、成分増強ができるのではないかと考えた。僕はファミレスのキッチンペーパーに製造工場のイメージ図を書きなぐった。自分の発想の原点として、それは今でも大切に保管している。

温泉にはその土地の土壌成分がイオン化、つまり水溶して温泉成分を形成しているが、実は温泉の成分の99%以上は水なのだ。逆にいうとわずか0コンマ数パーセントの成分で人の体に化学反応という「触媒作用」を起こす、とてつもないポテンシャルを持っているとも言える。
ちなみに原油は英語でcrude oilといい、鉱物成分などの「不純物」を伴う粗い油として産出し、そこから精製(refine)を重ねガソリンや灯油などの製品になっていくが、温泉はこの「粗い部分」が温泉成分にあたり生体にポジティブに作用する。この「粗い部分」を増やす工程を繰り返してできたのが「クラフト温泉」だ。この粗製による成分増強効果は想像以上で、源泉差はあるけど数千倍もの濃度増強が実現した。ここからが実は想像以上の困難を伴うことになるのだが、兎にも角にも、震災から約2年半の年月を経てクラフト温泉湯治施設「ルフロ」が誕生した。