
書道家:岡西佑奈(おかにしゆうな)さん
書とは?
西麻布のTOJIをコンセプトを一新して、今年の2月から再オープンすることになりまして、そのシンボルとして外の世界と中の世界を隔てる、1歩踏み出した瞬間に湯治の世界を感じていただこうと入口に大きな暖簾を掲げたいと思って、その文字デザインは岡西さんしかいないなと。
ルフロの愛用者で我々のことを一番わかってる書家さんです。
今日、お話ししたかったのは岡西さんの書の世界と私の湯治の世界、自然との共生とか日本の伝統的文化を心の中の整えみたいなところの共通なテーマを僕自身が感じたので、
今回、単なるロゴを作るという意味ではなくて、言葉とか今、取り組まれてることの思いとか含めて、全て意味のあるものとして、世に伝えていきたいという想いがあるので、そんなところをお話できればと思います。
お時間頂きありがとうございます。
最初に岡西さんの簡単な自己紹介をお願いしてもいいですか?
書家であり、自分ではアーティストと言ってたんですけど、アーティストではなく書家だなと思い、書家として活動してます。
7歳から書道を始めて、その後師範を取ってからしばらく離れていたのですが、22歳の時に久々に筆を取った瞬間にまた書家をやりたいという想いがあり、それからずっと書家をして生きてました。
今は書だけではなく、キャンバスに色絵の具で使って書くという、特に環境に対して、幼いときから色んな想いを馳せてることになって、環境に対するメッセージを込めた作品作りをやっています。
環境とは具体的にどういうことですか?
特に海の汚染に対して、訴える作品作りをしているんですけど、それっていうのは私が身体が弱くて小さかったので、とにかく普通に普段使えるものって無かったんです。
普通にドラックストアとかスーパーとか食べ物も買ってすぐに使うことができなかったので、歯磨きを使うにせよナスを焦がしてフェルト?にして歯磨きをするとか、髪を洗う時にリンスはお酢を使うとか。。
大変だ!かぶれちゃったりするんですか?
そうです。
かぶれちゃったり、痒くなったりするので、自然なものというのを使ってたんですけど、
いっぱい勉強していく中で、人間の身体にいいものは海にも優しいということに行き着いて、海に凄い興味を持って、
作品を作る中で、自分自身の心のなかにある本当の想いっていうのを作品にしたくて、2018年から海に対するメッセージの作品を作っています。
これは書というカテゴリーではないんですか?
これはアートとして寄せたんですけど、後から考えるとこれは書だったな。
書っていうのはどういうものなんでしょうか。
私も書道は習ってたんですけど、目的は文字を綺麗に書けるようになるため、みたいな認識でした。
私にとって書について最近感じるのは、自分の感覚を無にするものです。
私も禅の修行で永平寺に行ったりするんですけど、無になること、小さいときからどうしたら東京育ちで、欲望とか執着とか執念とかまみれたこの街でいかに自分が自分らしく生きれることを探して来てるんですけど、なかなか難しいじゃないですか。
だから、無になれることを探していましたのですが、ある時書を書いてる瞬間が自分が本当に無になれる、1番雑念が消えてく瞬間だなと気づいて、心が整理されてく感覚になれたんです。
わかるなあ。
湯治もそうですけど、特に先進国と言われてるような物が豊かになってる国ほど、豊かになってるようで、心が反比例してすごく乾いてるというか、すごく不安だったりしているんですよね。
それこそアフリカの子どもたちは一杯お水を飲むことさえも危険がある中で、何もかも恵まれてる先進国の人たちはなんでこんなにも不安なんだろうと考えたときに、ここも僕が取り組まなきゃと。
つまり書というのは物を書く手段だけではなくて、心の安定とかそういうものに通ずるものなんですね。海外の人にも通ずる普遍的なテーマが隠れてるのかなぁと感じました。
私自身、湯治を知る以前と言うのは、サウナが大好きで、身体を温めてデトックスするってことを考えたりして、ホットヨガとかやってきたんですけど、これは無になるためにやってきました。
ここの湯治って究極の場じゃないですか。
いいこと言いますね!笑
凄いなって思います。
僕らが凄いのではなく、自然のチカラを取り入れた人間の潜在力が凄いんです。
自然との共生というのは日本人が世界一優れていると思ってまして、石を愛でるとか、山を愛でるとか、風景を慈しむというのは、本当に日本人の心だと思ってるんです。
僕が世界に湯治を広めようと思ったのは、温泉という自然の恵、天然資源をキーワードに自然から得られるミネラル、
これは海水の成分でもあるんですけど、生物の基本的な構成元素の1つでいちばん重要なものを身体に取り込むことで、身体だけではなく心も整えてくっていうのを世界の人たちに伝えたかったからなんです。
これまでの湯治は、いわゆる秘湯と言われていて、時間をかけその場所に赴いて、長期逗留する地産地消型だったのですが、僕達はそれをライフスタイルにしたかったんです。
1300年の当時の歴史ではじめてのイノベーションです笑。
そんなに歴史が長いんですか?
はい。
元々、湯治の歴史って仏教の歴史と重なっていて、仏様が祀られてる本堂の隣に浴堂、『からふろ』とも言いますが浴堂があって、
高僧たちが仏様に対峙する前に、薬草や温泉を窯で蒸して室内に蒸気として入れて、そこで禅を組んで身と心を綺麗にした状態に仏様に対峙するための空間だったんです。
清めるってことですね。
でも入浴じゃなく蒸気だったんですね。
そうです。
蒸気で燻して清めるんです。
今でも言葉で残ってますけど、風呂って「ひとっ風呂浴びる」というのは正にこの蒸気浴の名残です。
風という漢字を使いますもんね。
元々、風呂って今は「呂」という漢字を使いますが、昔は「炉」という漢字だったんです。
炉でくべた煙を風で流して蒸気で身体を燻すことによって、もちろん汚れもそうですけど、心の邪気や邪念を取り払ってから、仏様と対峙する。
っいう今で言うマインドフルネスに近い感覚で、それをお寺が一般の人たちに施して、身体が元気になるということで、お風呂文化が広まったという。
200年前までは日本のお風呂とか銭湯は蒸し風呂が主流だったんです。
よもぎ蒸しみたいなのが今、流行ってるじゃないですか。
そういうのとは違うんですか?
サウナとかもそうですが、成り立ちやテーマが違います。
温浴施設の目的は読んで字の如く『あたため』ですが、
湯治は温泉成分であるミネラルを摂取することがテーマです。
温めて出す→デトックスに対して、
湯治はミネラル摂取(インテイク)が目的で、それにより内臓機能が高まるので自然と体温も上がるという考え方。
僕がまさにお風呂のパラダイムを変えたいのはこの『目的』なんです。
1日の終わりにお風呂に入り、汚れを取るというwash timeを、conditioning つまり整える時間にちょっと考え方を変えるだけでヘルスケアが劇的に進化する。
お風呂時間をコンディショニングと捉えると。
湯治=文化へ
僕らはTOJIを温浴施設、温浴事業という捉え方はしてなくて、ライフスタイル直結の文化事業だと思ってます。
さらに具体的に言うと、人間の持っている可能性とかポテンシャルというのは凄いんだぜってことを証明する取り組み。
人って本当にすごい機能を持ってるんですよ。
調子が悪くなりましたとか、何か悪いものをとってしまった時に、免疫機能とか代謝の機能とか働いてそれを自分で撃退してくれる。
下手な薬や医者の治療なんかよりはるかに優れた処方箋を持っている。
それが過度なストレスだっだり、環境の悪化だったり、様々な要因でこの力が弱くなってしまう。
文明が豊かになればなる程人類は過保護で弱くなってるんじゃないかと。
だから僕らは湯治を通じて、本来人間が持ってる力はこのぐらいあるんだよと言うことに気づいてもらう、実際気付けるんです。
もうマントラのように言ってるんですけど、人間が凄いんだぜってことを取り戻すために必要なヘルスケアを突き詰めて突き詰めて3つに絞りました。
とても気になります!
1つは体温を自分の力で上げること。
施設によって体温を上げるというのは、サウナもそうなんですけど室温を上げて外から熱を入れるのではなく、
ミネラルを栄養素に内臓酵素を本来、10しか動いてなかったものが30.40動かして、自動車のエンジンのように稼働し始めると全身に血流が行き渡って血の巡りが良くなって、体の中から発熱するということです。
すごく感じるのは呼吸のしやすさ。
発熱っていうのも凄い重要だと思うんですけど、びっくりするくらい汗をかけるのにとても過ごしやすいのが好きなポイントです。
例えば狭い所にいて、呼吸を深く意識をしてすることですごく身体があったまってきたりだとか、書道でもやっぱり呼吸ってすごく大事で、息を止めながら描くと作品って良いものが書けない。
そうなんですね!
だいたい皆さん息を止めながら緊張して書いてしまうんですけど、そうすると流れるような呼吸とともに作品を作っていくんです。
この呼吸にも関係するのですが、2つ目がこのミネラルを摂ることです。
我々のTOJIは室内に人間の生命において必要なミネラルが目に見えない形でミスト状で滞留しています。
それを大量に摂取することによって、生命が本来、必要としてるミネラルというものをエアーの状態で取り込むというのが僕なりの湯治の基本で、これをエアサプリと外国人の方に分かりやすいように呼んでます。
ミネラルを摂るというのは生命活動における超基礎の基礎なんです。
何十億年前の地球は海しかなかったんです。
そうすると、地球は今よりもミネラルの濃度が濃い。
ミネラルのスープの丸い塊があって、そこに隕石が落ちたり、ちょっとした突然変異があって、ミネラルを媒体にして生命体がこの地球に生まれた。
ミネラルというのは全ての星における生物の起源なんですね。
今、はやぶさが宇宙から石をとって、戻ってきますけど、あそこから採れる成分はいわゆるミネラルですよ。
どこの恒星にも必ずミネラルというものがあるんです。しかも全く同じ形で。
人間の身体の中で数%ぐらいの比重しかないのですが、ミネラルなしでは生物というのは生命活動を維持できないという人間にとって根源的な元素なんですね。
その中でも僕が力を入れている温泉に含まれるミネラルは、所謂微量元素といって、全体の1%ぐらいしか身体に存在してないんだけど、
とても重要な栄養でビタミンもタンパク質も微量元素が触媒として働かなければそれを身体の中で肌に合成したり、筋肉に変えたりということができないんです。
戦後、急速に飽食になって野菜が地球から取り込むミネラルが急速に枯渇しています。
もう自然のプロセスの中でミネラルが作れなくなってしまっています。
僕、恐ろしいデータをお知らせしますけど、アースサミットで発表されたデータによると、100年前と今を比べた時に土壌のミネラル成分、平たく全体のミネラルバランスなんですけど土壌のミネラルって何%ぐらい減ってると思いますか?
もうほとんどないって印象ですね。
85%減です。もうほとんど残ってない。
野菜や肉からミネラルが採れるって皆さん思ってるけど、元の元がこの状態だから食物連鎖の最終に位置する人間は必然的にミネラルって不足しちゃうんです。
現代の人たちは花粉症やアトピー などのアレルギーや精神疾患の患者数が激増しているのはミネラル不足が原因と言われています。私達はここにアプローチしたい。
普段それそのものを見ていないのでわかっているようで大切さがわかっていないのかもしれませんね。
そして最後がストレスフリー。
ストレスをなくすのではなく、取り除く。僕はこのストレスの蓄積というのが身体の免疫だったり健康を脅かす最重要ファクターだと思っています。
ミネラルや体温上昇に比べて訂正的なテーマなので、ここを克服する事は私の永遠の課題です。
口で言うのは簡単だけど、ではストレスフリーの生き方をするにはどうしたらいいか。
事業として取り組む中で当然、自分の望むことだけでないこともあって、そこは僕の中では今まで経験したことの無いような、これがストレスなのかな?
っていうことは正直あって、人に健康法を提供する仕事をやっているのにも関わらず、すごい自分自身がストレスを感じながら健康事業をやってる矛盾を感じる事が正直あります。
この状況を分析すると、あるがままの自分、本当の人生を生きていない瞬間にストレスを感じていることに気づきました。
僕はまだここに対する完璧なソリューションは見いだせていませんが、その答えのヒントとして、私たちも大変お世話になっている堀江(貴文)さんの生き方が参考になるかと。
もう究極形です笑。我が侭に生きるのではなくて、自分はこう生きたいんだとかこういう世の中にしたいんだというものを強烈に持って実際生き抜いている。
サラリーマンはそうは行かないよとか、家庭を持ってるものはそうは行かないよとかそういう声もあるのかとは思うんですけど、それは関係ないと思っていて、こういう生き方をしたいんだっていう生き方ができる時代を僕たちは生きている。
我々の親、祖父母世代は生きることに必死だった。
本当に先人達が、戦争というものを経てまずしいいところから明日の生活を心配しなくても良い国を作ってくれた。
だからこそ、生き方なんてことを哲学的に考えるだけの気持ちの余裕がある。昔はこんなこと言ってられなかったはずです。
「言ってられなかったはずです。今の時代だからこれからの時代だからたぶんそれは言えるし、実際にそれができてくる時代だと思うんですよね。
そうですね。
ワガママって、発音を変えると、【我が侭】なんですね。
おぉー!
あるがまま であるっていう自分らしさ
堀江さんワードが降りてくる笑
悪い意味でもあるけど、本来の自分でもある。それが人に迷惑をかけるとか、度が行き過ぎると良くないことですけど、自分らしく生きることって大事だなって思います。
これからもっともっと世界は物質的な豊かさを享受する事が出来ると思います。そうすると今まで生きることに必死だった人達が、一旦立ち止まって、内面に関心が向いてきた時に自分はどう生きるべきかって、自分の方に関心が向いてくるじゃないですか。
そうすると多分、同じような悩みを抱える人達が、世界中で凄い増えてくると思うんですね。
そういうときに、書であったり温泉湯治であったり、自分の内側の世界に目を向けるっていうのは日本独特の審美学だと思うんで、こういう日本の文化的な深さっていうのは世界の人たちにすごく通用すると思うんです。
僕は日本で唯一フロとか温泉を通じて、世界の人たちに言語関係無く日本のそういう部分を伝えられる人間だと勝手に思っていて笑、
日本の湯治という言葉が、当たり前のようにヘルスケアの中の大きなカテゴリの一つとして使われるようになった時、世の中は大きく前進すると思っています。
今までお話しした中で岡西さんの内なる考え方とか言葉一つ一つの大切さとかそういったものを疎かにせずにしていきたいとあらためて思いました。暖簾のロゴ超えて発信していきたいです。
① ミネラルをとる
② 身体を温める
③ ストレスを取り除く
というのは、人類共通のテーマなので、これからも折に触れて、近況報告しながら、一緒に良きものを発信する機会をいただけたらと思っています。
母に起こった奇跡
実は私の母は昔病気で余命半年って宣告を受けたんです。
それで残りの半年をどのように過ごそうかと話していたんですけど、でも、やっぱりみんな諦められないじゃないですか。
そこで母がやってたことは、実はミネラルをとるってことだったんです。
まだルフロができる前だったので笑、海外からサプリを取り寄せて、
とにかく笑顔でいること
絶対に泣き言は言わない
プラスの言葉しか喋らない
これらを徹底して、2ヶ月で検査するうちにすぐに腫瘍がどんどん小さくなっていって、手術をする予定だったんですけど、手術の前日に腫瘍がなくなってしまったんですよ。
手術そのものが要らなくなったんですね!
無くなったんですよ。
奇跡だと思うかもしれないですけど、奇跡じゃないんですよ。
ミネラルをとることって、私はサプリからとるとかしてたんですけど、これって習慣じゃないですか。
だから、自然のものを自然から得られるって本当に凄いなって思います。
ミネラルってもうこれ以上分けられない物質、元素なので、どこの星に行っても亜鉛は亜鉛だし、月の亜鉛と地球の亜鉛は全く同じものですし、究極のものです。
お母さんがやられたことは必然的なことを必然的にやっただけでこういうことは全然起こり得ることです。
人間ってさっきも言ったように本来そういう力を持っていて、①ミネラルを取る②身体を温める③ストレスを取り除く。のうちの2つに関してまさに本能的に実践されていたのです。
加えて笑うとかポジティブになるとかは、ストレスを消すことになるので、僕らが掲げてる3つのことは間違っていなかったとお話を聞いて改めて確信しました。
本当に本質的なことをやるだけで、人間っていうのはそういう力が備わってるっていうのをやっていこうと、改めてお話を聞いて思いましたね。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。

【岡西佑奈さん オフィシャルサイト】
https://okanishi-yuuna.com/
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